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イベントレポート

専攻科演劇専攻試演会『家を出た』


『家を出た』
作・演出 鈴江俊郎准教授
6月30日(土)・7月1日(日) 専攻科演劇専攻試演会「家を出た」を上演しました。

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レポート

 6月30日(土)・7月1日(日)に専攻科演劇専攻試演会『家を出た』を上演しました。作・演出の鈴江俊郎准教授の指導のもと、専攻科の学生が役者で、ステージ・クリエイト専攻の学生がスタッフとして大奮闘。不思議な死後の思索の世界を静かに、しかし豪華に立体化しました。

 死んだはずの吉田が目を覚ましたのはある「場所」。死者たちはいったんそこに立ち寄り、そしてぷつっと、すべて消えてしまおう、と決める。一日のうち決まった時間だけ下界、現世のことを覗くことができるけれど、そんなことをしてどうなるというのか。さまざまな若者たちがそこでもがきます。友達想いのバスケット部員たち、いじめに復讐した少女、永遠の恋を誓った少年。

 浮かび上がる生命の問題、普遍とはなにか、という問題を、役者たちは笑いも豊かに演じきっていました。白を基調とした高さのある圧倒的な舞台美術、それを透明感ある色調に染め上げる照明。美術作品のような視覚的な統一感の中、音楽専攻の学生による生演奏が要所要所をひきしめてくれます。バイオリン、ピアノ、ギターのアンサンブルがいろどる舞台の豊かさは、まさに演劇が総合芸術であることを惜しげもなく伝えてくれます。楽曲のうち数曲は学生による創作。今回のためだけに作られたメロディとはなんと豪奢な表現なのでしょう。一回限りの人生、そして戻ってこない今日という時間。世の中がどんなに不条理な矛盾に覆いつくされても、いのちは輝きます。愛おしく、そしてこっけいな人間模様が描かれ、それはそのまま人間存在への讃歌でもありました。

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