2024年度オペラ実習試演会

2025年2月18日（火）に本学ポロニアホールにて、オペラ実習試演会『フィガロの結婚』が開催されました。

ご挨拶
本学のオペラ教育は、演劇専攻のある大学のオペラ教育として今までも他に例のない取り組みをしてきました。音楽・演劇のクロスオーバーの公演はまさに本学の特徴であり、音楽専攻学生は芸術科1年次よりバレエ、ジャズダンスやミュージカルトレーニング等の演劇系科目を修得し自身の表現領域のレベルアップに励み、演劇専攻学生は楽譜を読むこと、クラシックの発声などを基礎から学んでまいりました。その集大成がこのオペラ実習試演会です。最後までお楽しみいただければ幸いです。
最後に、この公演に向けて共演してくださった男声助演の先生方、スタッフの方々をはじめ、ご協力いただいた全ての皆様に心から感謝申し上げ、ご挨拶とさせていただきます。
音楽専攻主任　永井由比

今回はモーツァルト作曲《フィガロの結婚》を上演いたします。台本作家ダ・ポンテと組んで作った三部作（ドン・ジョバンニ、コジ・ファン・トゥッテ）と呼ばれ、今なお色褪せない魅力に溢れています。
オペラを学ぶにあたり最初に取り組む作品であると同時に、ずっとそばに置いて触れておいた方がいい教科書ともいうべき作品です。
音楽・演劇両専攻の学生が一丸となって取り組み、桐朋学園芸術短期大学でしか出来ない舞台を作り上げたと思っています。どうぞお楽しみください。
指揮・歌唱指導　布施雅也

今年度は履修してくれた学生も多く、賑やかに授業をしてまいりました。音楽専攻も演劇専攻も昨年度受講してくれた専攻科2年生たちが中心となり、新しく履修してくれた専攻科2年生や1年生達と準備をしてくれました。いつも美術を担当してくださる松本さん、裏をまとめてくれる一平さん、スザンナのエプロンデザインをしてくれた三好さん、毎年学生達を盛り上げてくださる助演の先生方、ピアノを演奏してくださる千葉先生、山崎先生、そして指揮だけでなく、学生達に丁寧な指導をしてくださる布施先生、たくさんの方のご協力のもと、少ない予算の中、知恵を使い作品を作りました。この場を借りてお礼申し上げます。
専攻科2年生は今年度で卒業です。2年間一緒に作品を作れたことを嬉しく思います。
観にきてくださった皆様、お客様に観ていただけることで初めて作品が完成いたします。お楽しみいただけましたら幸いです。どうぞ最後まで、物語の行末を見守ってくださいませ。公演台本・演出　柴田千絵里

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【歌劇】フィガロの結婚

第一場　アルマヴィーヴァ伯爵邸の一室

伯爵の従僕フィガロは今宵、伯爵夫人の侍女スザンナと結婚することになっている。フィガロは伯爵が結婚祝いに与えてくれた部屋で楽しげに家具の寸法を測っているが、スザンナは伯爵の魂胆を鋭く見抜いている。伯爵はスザンナを我がものにするため、一度は廃止した初夜権を復活させようとしているのだった。フィガロは伯爵の企みを防ごうと策を練るが、伯爵は音楽教師バジリオを手なずけ、フィガロに気がある女中マルチェリーナの計略を後押しする。
一方、ケルビーノがスザンナの部屋に頼み事をしにきたその時、伯爵が部屋に入って来るのでケルビーノは慌てて身を隠す。バジリオの話を聞いて怒った伯爵がケルビーノを見つけてしまい場は大混乱に陥る。そこにフィガロが村人たちを引き連れてやってきて婚礼の許しを乞うが、伯爵は素知らぬ顔ではぐらかす。

第二場　伯爵夫人の居間

夫の愛は過ぎ去ってしまったと嘆き悲しむ伯爵夫人。フィガロとスザンナは伯爵を懲らしめる策を練る。フィガロは伯爵夫人の浮気をでっち上げた手紙が渡るように手を打っており、さらにスザンナが伯爵に逢引を約束し、そこに女装をしたケルビーノが現れ浮気の現場を取り押さえるという計画を立てる。
スザンナがケルビーノを女装させていると伯爵が戻ってきてしまい、ケルビーノは慌てて衣裳室に隠れる。慌てる伯爵夫人を見て浮気相手が隠れているのではないかと疑う伯爵。しかしスザンナがケルビーノを窓から逃し、代わりに自分が衣裳室に入る。伯爵は現れたスザンナに混乱しつつも妻を疑ったことへの許しを乞う。
フィガロが現れると、伯爵は例の手紙について詰問する。フィガロはなんとかその場を切り抜けるが、マルチェリーナの一団が入って来る。「フィガロとの結婚が法的に有効か調べてもらいたい」と言い出し、大騒ぎとなって幕をとじる。

第三場　城内の大広間

伯爵は今朝からの出来事を思い返し、訝しく思っている。一方伯爵夫人はスザンナと一緒に伯爵を懲らしめる罠を仕掛ける。スザンナは伯爵の望み通り逢引きを約束し、スザンナの衣裳を着た伯爵夫人が逢引きに現れるという算段である。
裁判が始まり、金を払うか結婚するかのどちらかだと判決が下るが、フィガロが生い立ちを話すうち、彼はマルチェリーナとバルトロの子であることが判明する。
伯爵夫人は逢引きの手紙をスザンナに書きとらせる。手紙をピンで封印し、返事の代わりにこのピンをスザンナに返してくれるようにしたためる。
いよいよフィガロとスザンナ、よりを戻したバルトロとマルチェリーナニ組の結婚式が始まる。式の途中、スザンナは伯爵にこっそり手紙を渡す。

第四場　夜、城内の庭園

バルバリーナは伯爵からスザンナに返すように言われていたピンを落としてしまい探している。そこへやってきたフィガロとマルチェリーナに彼女はピンの話を打ち明けてしまう。
伯爵夫人とスザンナの計画を知らないフィガロは、スザンナが伯爵との逢引きを承諾したことに愕然とし、復讐心を募らせる。マルチェリーナはこの場にフィガロがきていることを伯爵夫人とスザンナに教え、スザンナは自分を疑った報いに聞こえよがしに愛のアリアを歌う。逢引きの現場にケルビーノが登場し、伯爵夫人をスザンナだと思い込んで、からかっているところへ伯爵が現れる。伯爵はケルビーノを追い払い、スザンナの衣装を着た伯爵夫人を口説き始める。二人を妨害しようとするフィガロを伯爵夫人に扮したスザンナが呼び止めるが、声色でフィガロにばれてしまう。
今度は二人で共謀して伯爵の前で演技をして見せる。妻の不義を許せない伯爵はフィガロを捕え大声でみんなを呼ぶが、二人が入れ替わっていることを知り呆然。伯爵は非を認め大団円となる。