専攻科について
桐朋学園芸術短期大学では、本学芸術科を卒業した学生がさらに研鑽をつむために、専攻科を設けています。専攻科では、演奏活動や上演活動を重ねることによって、実践力を伸ばしていきます。
なお、本学芸術科を卒業した者と同等以上の学力・能力があれば、本学の出身でない方も専攻科の入学試験を受験することができます。
※2018年度より学位授与機構認定専攻科となりました。所定単位を修得し、同審査の審査に合格することで、四年制大学を卒業した場合と同じ「学士」の学位が取得できます。
高度な専門教育で実践力を高める「プラス2年間」
専攻科演劇専攻は1968年に設置され、高度な専門教育により演劇界に多くの人材を輩出してきました。
専攻科では、本学演劇専攻卒業生または同等の能力があると認められた者を対象に、年3回の劇上演実習とワークショップを通して実践力を養います。
創設50周年を機に、カリキュラムをさらに充実し、多彩な科目を新たに増設しました。
特別講義
一流の講師陣を招いての講義が充実
演劇人としての幅広い教養を身につけることを目的に、一流の表現者および研究者を講師に招いて行われる講義です。学期ごとにテーマが設定され、毎週講師の顔ぶれが変わります。
【2020年特別講義】 ●現代演劇の最前線 | |
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内野 儀 | /演劇評論家、東京大学名誉教授、学習院女子大学教授 |
渡辺 弘 | /彩の国さいたま芸術劇場プロデューサー |
藤井慎太郎 | /文化政策、フランス語圏の演劇研究、早稲田大学教授 |
相馬千秋 | /プロデューサー 2019年あいちトリエンナーレ・パフォーミングアーツ部門キュレーター |
高山 明 | /演出家、東京藝術大学准教授 |
河合祥一郎 | /シェイクスピア学者、翻訳家、演出家、東京大学教授 |
森山直人 | /演劇評論家、京都造形芸術大学教授 |
児玉竜一 | /古典芸能研究、早稲田大学教授 |
原田一樹 | /演出家、キンダースペース主宰 |
中屋敷法仁 | /演出家、劇団「柿喰う客」主宰 |
てらそままさき | /俳優、声優、㈱マウスプロモーション |
志村史人 | /俳優座・俳優 |
ワークショップ
第一線で活躍する演劇人・アーティストによるワークショップ
2020年度は創立90周年を迎えた「人形劇団プーク」より演出家の柴崎喜彦さんをお迎えし、ストレートプレイのリアリズム表現と異なる”物”を使ったオブジェクトシアターの表現を学びました。小道具=”物”がどれほど表現を助けるのかを再認識しました。
劇上演実習
プロの演出家による劇上演実習
専攻科で学んだことの総決算。「本読み」から「立ち稽古」、「舞台稽古」、そして「本番」と、プロの演出家による徹底した稽古が40日以上にもおよび、完成度の高い上演を可能にします。
2015年度専攻科試演会
『黒い十人の女』
作:和田夏十 演出:三浦 剛
2017年度 専攻科演劇専攻試演会
『桐朋シェイクスピア』
演出 越光照文
Students' voices
西本 翔さん
~リアリズム演劇の難しさとおもしろさに夢中~
専攻科では年3回の試演会があり、いつもの先生方だけでなく外部で活躍される演出家や俳優の方々と触れ合う機会も多く、さまざまな刺激と気づき、成長の場となっています。オススメの授業は田中壮太郎先生の『リアリズム演劇』です。この役はこうでなければならないという枠を取り払った、生身の自分自身で演じる充実感を味わってみてください。
齊藤 リナさん
~60代のおばあさんから7歳の女の子まで演じ切る~
専攻科は少人数なので、さまざまな場面で自分の出番が回ってきます。先生に観てもらう機会も多く、一つの役に対してより深く入り込み、対峙し、役を成立させることができるようになってきました。ここで得たことをさらに追究して、今後は、”自分でもできる役”ではなく”自分にしかできない役”に出会えるような女優をめざしたいと考えています。
磯田 京樹さん
~人の心に残る舞台人をめざして~
本科時代に試演会や卒業公演などを経験し、もっと場数を踏みたいと思っていたときに、越光学長に背中を押してもらい専攻科に進みました。専攻科では、本科以上に先生方や仲間との関わりが強く、一緒に舞台をつくり上げる実感が持てます。一つ舞台を終えるごとに何かをつかんでいる感じです。今後、もっと身体的表現の幅を広げていきたいです。
月岡 ゆめさん
~劇作のおもしろさに気づき演出家を志望~
実験劇や演出研究、劇作研究などの授業がきっかけで、芝居をつくる側に興味を持つようになりました。三浦先生からも「演出やらないの?」とお声がけいただき、つくることに真剣に向き合い始めたところです。このコロナ禍でペーター・ゲスナー先生が全国に呼び掛けて開催されたアートコンテストでは、8分の映像作品で金賞をいただきました。
本科の教育課程を発展させ、専門能力をさらに深める2年間
専攻科音楽専攻は、芸術科の教育課程を発展させ、関連科目を充実させるとともに実技の研鑽を通じ、より高度な専門教育を行う2年間です。本学の音楽専攻卒業生または同等の能力があると認められる者を対象に、徹底した個人レッスンをはじめ、アンサンブル、室内楽、歌曲研究、音楽療法など、専門分野の能力を深める科目が揃っています。また、2017年度より、チェンバロ専修が増設されました。さらに本専攻科を修了した後も、なお研鑽を積もうと希望する学生には、研究生制度が用意されています。
ピアノデュオ研究
ピアノ・アンサンブルの基本を身につける
連弾と2台のピアノのための作品を通して、ピアノ・アンサンブルの基本を学びます。授業は、学生がチームを組んでデュオ演奏しますが、それを公開レッスン形式に進めることでより実践的に行います。
オペラ実習
舞台制作の過程を経験する
授業は、演劇専攻の教員を含め、「演奏」「演技」「上演」の3 段階に分けて1 年間行われます。受講生は徹底した訓練のなか、舞台が創られていく過程をひとつずつ経験することになり、その成果は「オペラ実習試演会」で披露されます。
アウトリーチ研究
聴衆と感動を共有できる演奏会を
従来の鑑賞型の演奏会だけではなく、「演奏+α」(楽器体験、ワークショップなど)を追求し、奏者と聴き手が一体となれるプログラム、コンサートを創り出していきます。企画・構成から本番での聴き手とのコミュニケーションまで、実践的に学びます。
歌曲研究
言葉と音楽の融合を探る
「歌曲」というと声楽とピアノでの演奏が基本ですが、この授業では、本学の特徴を活かし、箏やギターの伴奏による歌曲や、フルートやヴァイオリン等の楽器が加わった作品も幅広く取り上げ、言葉につけられた音の世界を学んでいきます。
Students' voices
黒子 暁和さん
~コンクールに挑戦しプロの演奏家の道へ~
これまで築いてきた基礎をもとに、歌曲研究やオペラ実習などのより実践的な授業が用意されています。多くの先生から表現方法を学べるので、技術とともに演奏そのものに自信がついてきました。第27回ブルクハルト国際音楽コンクールでは審査員賞をいただきました。今後も多くのコンクールにチャレンジしたいです。
伊藤 順子さん
~音楽療法士としてさらに音楽の力を身につけたい~
約10年前に音楽療法士の資格を取り、より良い演奏をクライアントに聴かせたいと、仕事を続けながら音楽を学び直しています。専攻科では演習が多く、ソロやアンサンブルなどのそれぞれで人前で演奏する機会が増えるため、”人に伝える力”が鍛えられます。今後は音楽療法以外に、仲間とのグループ活動も考えていきたいです。
有馬 美梨さん
~ここでしか学べない二十五絃箏を究めたい~
箏を学びたいと本科に入学。大学ではここでしか学べない二十五絃箏と出会ったことが転機となりました。演奏は難しいのですが、それ以上に弾く楽しみがあります。十三絃、十七絃、二十五絃それぞれの箏を弾きこなせる演奏者となるために、まずは専攻科で学び学士を取得して、さらに高みをめざして大学院への進学を考えています。
坂根 美瑛さん
~専攻科で音楽に漬かりながら教員免許も学位取得も~
本科では主科のフルートに集中して学び、専攻科でさらに技術を磨き、教職課程と学位取得に向けての履修もしました。忙しかったけれど、自身がついて就活の視野も広がりました。卒業後は放課後デイサービスで障がいのある子どもたちのお世話をすることに。生の楽器の音で、彼らに音楽のすばらしさを伝えていきたいです。

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