2013年度 第13号 永澤真紗恵
2014年1月6日 月曜日
音楽専攻/永澤真紗恵(非常勤講師)
音楽専攻/永澤真紗恵(非常勤講師)
短大で学ぶ“人生の取り組み”
現在、私は学生の皆さんに教える立場にありますが、その教育方針に大きな影響を与えたのは、ドイツに留学して間もなく先生から言われた一言です。それは、「あなたは結局どう弾きたいの?」と言う言葉です。それまでは私は、恥ずかしいことにピアノを弾くことに一生懸命で、真に作品を理解していなかったことに気づきました。それからは、技術以上に作品の神髄を感じることを中心に音楽と向き合い、先生とのやり取りも「私はこのように解釈した」「あなたの解釈も良いが、このような解釈もあるよ」というように変わっていったのです。これはその当時の私にとってはとても新鮮で、いつか私が教える立場になったときには、学生にもこれを必ず伝えようとその時に思ったことを覚えています。
自身の力で音楽的表現を出来るようにする・・・それは私の解釈が表現の中心になるのではなく、楽譜を読み解いてその曲の神髄を感じ、自力で曲を作り上げていく、さらに自身の個性を演奏にプラスしていくことなのです。これは、生きていくことすべてに言えることなのかもしれません。
自身の力で音楽的表現を出来るようにする・・・それは私の解釈が表現の中心になるのではなく、楽譜を読み解いてその曲の神髄を感じ、自力で曲を作り上げていく、さらに自身の個性を演奏にプラスしていくことなのです。これは、生きていくことすべてに言えることなのかもしれません。
私は物心がついたときにはすでにピアノを弾いていましたが、それがいつのまにか私の人生の中心になっていました。人生の軸となるような取り組みを持つことは、音楽であれ、演劇であれ、日々の中で必ずそれらの経験を通したうえでの考え方や判断となるのではないでしょうか。その考えや判断のときにフィルターとなる“人生の取り組み”を極めようとする行為自体が、いかに思考と行動の奥行きを深めるかは言うまでもありません。それぞれがどのようにして音楽・演劇と出会ったかよりも、人生においてそれらを真剣に取り組もうとしたときに、どのような環境に身を置くかはとても重要な要素だと私は考えています。私にとって今の自分があるのは、ドイツでの4年間であり、もちろん、その土台を作った本校の4年間のおかげなのです。
本校は短期大学とは言え、芸術科(本科)と専攻科があり、望むならば、本科2年では完結せずに専攻科に進むことができます。私が担当する学生も今年、全員が専攻科に進学しました。学生の多くが、本校の面倒見の良さを口にしますが、それは、徹底した少人数制と一人ひとりの個性を生かした技術指導にあります。“人生の取り組み”を極めてみたい人にとっては、最も適した環境といえるでしょう。
永澤真紗恵(ピアニスト)プロフィール
埼玉県生まれ。5歳よりピアノを始め、埼玉県立大宮光陵高等学校音楽科を経て、桐朋学園大学短期大学部芸術科音楽専攻卒業。並びに、同大学専攻科音楽専攻終了。在学中に定期演奏会、卒業演奏会に出演する。
第6回埼玉ピアノコンクール高校の部で銅賞、第8回日本クラシック音楽コンクール大学の部で奨励賞、全国大会入選。第28回家永ピアノオーディションに合格、津田ホールにおける推薦演奏会に出演する。
2001年、ドイツへ留学。ドイツ国立ブレーメン芸術大学音楽学部ピアノ科入学。2003年サンティアゴ・デ・コンポステーラ(スペイン)にてスペインの偉大なピアニスト賞、並びに、奨学金を受賞。また、ウイーン国立音楽大学やドイツ各地でマスタークラスに参加、選抜者による演奏会に出演する。ドイツ滞在中、ソロ及び室内楽の演奏会を行い、ブレーメンのラジオ放送に出演する。2006年3月、同大学を卒業。
現在、桐朋学園芸術短期大学非常勤講師。
第6回埼玉ピアノコンクール高校の部で銅賞、第8回日本クラシック音楽コンクール大学の部で奨励賞、全国大会入選。第28回家永ピアノオーディションに合格、津田ホールにおける推薦演奏会に出演する。
2001年、ドイツへ留学。ドイツ国立ブレーメン芸術大学音楽学部ピアノ科入学。2003年サンティアゴ・デ・コンポステーラ(スペイン)にてスペインの偉大なピアニスト賞、並びに、奨学金を受賞。また、ウイーン国立音楽大学やドイツ各地でマスタークラスに参加、選抜者による演奏会に出演する。ドイツ滞在中、ソロ及び室内楽の演奏会を行い、ブレーメンのラジオ放送に出演する。2006年3月、同大学を卒業。
現在、桐朋学園芸術短期大学非常勤講師。