演劇専攻卒業生インタビュー 47期 柴田美波さん
文学座本公演『越前竹人形』(2016年)より
撮影:鶴田照夫/写真提供:文学座
文学座本公演『越前竹人形』(2016年)より
撮影:鶴田照夫/写真提供:文学座
――文学座は何年目ですか?
――同期はどれくらいいるの?
2年間だったら、2年目で進路を考えて、さらに学ぶかを選択できると思った
――演劇を始めるきっかけは?
初めのころ、大きい声を出すのが楽しくて、先輩に発声練習で褒められたりもして、それまで褒められるっていう経験がなかったからすごく嬉しかった。
――桐朋学園に入学するのはどういう経緯?
で、高3の夏に桐朋のワークショップに参加してみて、建物に入った瞬間、直感でここがいいかもって思ったの。ワークショップは越光先生とゲスナー先生の講座を受けた気がする。最初にゲスナー先生に「心はどこにあるか?」って聞かれたの、すごく印象に残っている。
――わ!それゲスナー先生だったんだ!言葉だけ覚えてる!
プラス、2年か4年か選べるのも良かったなあ。2年目でまた進路を考えて、さらに学ぶかを選択できると思ったんだよね。
ここから本当の意味で、演劇とか演技に向き合い始めた気がする
前期終了後9月の面接で、ゲスナー先生に「もっと周りと一緒にやって!」って言われたりもしたんだけど、当時、私はだれにも負けない!みたいな野心が強かったから、そういう意味でも硬いガードを張っている感じになっていたと思う。私なりに学ぶことを楽しんではいたけど、周りはやりにくかったかも。
――それはいつまで続いたの?
――直感?
――それで、海外研修でもイタリアで井田先生に学び、2年の夏のワークショップも井田先生、そして満を持して秋の試演会に挑むわけね。
どんな流れでこの言葉が出てきたのかは覚えてないけれど、「回転寿司じゃなくて、失敗してもいいから自分で握ってみろよ!」って言葉をすごく覚えていて。
とにかく表面で、形でやらないこと。自分一人でやることのつまらなさと、周りと一緒にやることの大変さと面白さを学んだと思います。ここから本当の意味で、演劇とか演技に向き合い始めた気がする。今でも井田さんの言ってたことは自分の課題だし、これからも向き合い続けていくと思う。
――本番はどうだった?
それで2日目は登場した瞬間から初日より笑いが起きて、そこでお客さんを感じることについても少し自覚できた。初日よりは良かったんだと思う。でも、なんで良くなったのか理解出来なくて悔しかった。偶然できても、理解できないと次に生かせないから。
演劇専攻47期試演会『ダチョウの一撃』より
演劇専攻47期試演会『ダチョウの一撃』より
演劇専攻47期試演会『ダチョウの一撃』より
演劇専攻47期試演会『ダチョウの一撃』より
――それを経て、卒業公演ではどうだった?
――確かにその頃の美波はすごく闘ってるイメージ。裏プロ(※)のことも意識してた?
――桐朋学園で学んで今でも役に立っていることはある?
――美波は照明部チーフとしても頑張ってたよね
演劇は「総合芸術」って言うけど、役者演出各スタッフ全部の要素が合わさって出来る物だなぁって、改めて思う。俳優だけじゃあんまり面白くはならないね。
演劇専攻47期卒業公演『ブルーストッキングの女たち』より
演劇専攻47期卒業公演『ブルーストッキングの女たち』より
演劇専攻47期卒業公演『ブルーストッキングの女たち』より
演劇専攻47期卒業公演『ブルーストッキングの女たち』より
狭い狭い自分の世界を少しずつ広げていく作業。これってなかなか大変なことだけど、何物にも代えがたい豊かな経験だと思います。
――卒業後から現在までの活動で印象に残ってる作品は?
自分の直感を信じてよかったし、こういう運命的なものって、人生にきっと何回かあって、それを掴めてよかったなと思いました。
――稽古や本番の様子はどうだった?
最後は福島のいわき市で上演したんだけど、足がすくむのを感じました。もちろんあの地震を実際に経験したお客さんの前で演じるわけだから、自分の気持ちよさだけでやって感情におぼれるのは勿論駄目だし、自分なりに誠実に演じようと心掛けました。
福島三部作 第三部 『2011年:語られたがる言葉たち』より
撮影:前澤秀登
福島三部作 第三部 『2011年:語られたがる言葉たち』より
撮影:前澤秀登
――緊急事態宣言中はどう過ごしてた?
コロナ禍では、文学座の公式YouTubeの動画編集をしたり、文学座クラウドファンティングに関わったり(3月31日に終了)、幸いにも決まっていた舞台が色々な制限はありながらも上演できたので、その活動をしていました。
「歴史だけでは食べていけない」――老舗劇団が直面したコロナ危機2021.05.02配信/Yahoo!ニュース オリジナル 特集 より |
――宣言明け1発目は座・高円寺の小・中学生向けのレパートリーシアターかな?
――最後に、中高生へのメッセージをお願いします!
私は10代のころからもっと実践していればよかったと後悔して、今取り戻そうと頑張っているので、よかったら皆さんも今から始めてみてください。どんどん世界の彩度が鮮やかになっていくと思います。
柴田美波さん出演情報
【東京公演】2021年6月15日(火曜日)~7月 4日(日曜日)パルコ劇場
【大阪公演】2021年7月10日(土曜日)~7月11日(日曜日)サンケイホールブリーゼ
【広島公演】2021年7月13日(火曜日)JMSアステールプラザ 大ホール
【福岡公演】2021年7月16日(金曜日)~7月17日(土曜日)久留米シティプラザ ザ・グランドホール
文学座 地方公演『怪談 牡丹燈籠』作:三遊亭円朝/脚本:大西信行/演出:鵜山 仁
2021年 9月:静岡県
2021年11~12月:中国地方・可児市